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番外編恋の吊り橋作戦

「今日も配達があるんだろ?」 「ありますよ」 「もう行く時間だろ?」 「あと十分もしたら出ますよ」 「そうか。出掛けるときに声をかけて悪かったな」 「兄貴」 腕を掴むヤスさん。 「考え事があるから膝枕しろってでしょう?」 「なんで分かったんだ」 「何年兄貴の側にいると思っているんですか。兄貴の顔を見れば何を言いたいのか分かります。佐治が呼びに来るまででいいですか?」 「悪いな」 「悪くないですよ」 縁側は直射日光があたって暑いからと、ただっ広い広間の隅に移動してヤスさんの膝枕でごろんと横になる弓削さん。  それから二十分後。待てど暮らせどなかなか戻ってこないヤスさんに痺れを切らした佐治さんが探しに来た。 「弓削兄貴は悩み事があるといつもあぁしていたんですよ。昔を思い出します」 「復帰早々問題が山積みだもんな」 二人に声を掛けるか躊躇していた佐治さんに柚原さんが驚かせないように静かに声をかけた。 「渋川にたまには電話を掛けてやれ。メールじゃないくて、声が聞きたいんだと」 「ヤロウの声なんか聞いてもなんの面白味もありませんよ」 「ここはねえさんの顔を立ててやれ」 「直接俺に言えばいいのに。なんでわざわざわざねえさんに言うかな」 「恥ずかしいんだろ?だから面と向かって言えないんじゃないのか」 へ?すぐには理解できず。きょとんとする佐治さん。

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