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番外編恋の吊り橋作戦
「坊っちゃん楽しかったですか?」
玲士さんが声をかけても一太は項垂れていた。
「何かあったんですか?」
すぐあとから出てきた彼に聞くと、
「前の席に家族連れが座っていたんだが、一太くらいの男の子が投影中ずっと大きな声で騒いでてな、スタッフに何度か注意をされたんだが親は聞く耳持たずで放置だ。出てくるときも並んでいたら後ろから一太にぶつかってきて謝りもしない。だから注意したら泣かれてな、そしたら親が飛んできて事情を説明したら逆ギレされた。いろんな親がいるもんだな」
「そうですね。でもヤクザ相手に逆ギレするなんてある意味すごいですね」
「そうだな。もう二度と関わりたくないな」
彼が一太の手をそっと握った。
「アイスクリームを食べに行こうか?腹は減ってないか?」
「お腹すいた」
「そうか。じゃあファミレスにでも行くか」
彼がさっと携帯を取り出した。
「下の階にあるレストランのスタッフとちょっとした知り合いでな。ウェイティングが出来てないか、混んでないかを聞いたんだ。今なら空いているそうだ」
「オヤジって顔が広いですね」
「そんなことはないぞ。あ、そうだ。昼飯はいらないってママに電話をしておかないとな」
「ねぇ、パパ。ハルちゃんにお菓子を買う約束をしたんだ」
「そうか。じゃあ駄菓子屋にもいかないとな。ちょうどファミレスの近くにあっただろう」
彼と他愛もない会話をするうち一太の顔に笑顔が戻っていった。
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