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番外編恋の吊り橋作戦

「同業者ですよ。新入りなんでね、名乗るほどの者でもないですよ」 「あ?同業者だと?新入りだと?てめえーふざけているのか!」 いきりまく男に対し玲士さんは怖いくらいに落ち着いていた。 「新入りならしょうがないととしても神政会の幹部なら敵対関係にある組長の顔ぐらい普通は覚えているものですよ。それも分からないなんて。オヤジと何度も擦れ違っているのに気付かないなんて。本当に神政会の幹部なんですか?」 玲士さんの言葉にギクっとする男。 「うちの倅が何かしましたか?」 そこへ彼が颯爽と戻ってきた。一太は影のように張り付いているミツオさんと一緒にワッフル作りに夢中になっていた。 男は彼の顔を見ても誰だか分からないみたいだった。 「子どもの前だ。ことを荒立てる気はない。でもな」 そこで言葉を止めると男を睨み付けた。 「嘘は駄目だろう」 静かに言葉を継ぐ彼。近付き難いオーラは男を黙らせるには十分だった。 「カドタの手下だろう?新幹線が止まったままで身動きが取れず時間潰しをしているんだろう?子どもの面倒ぐらいちゃんと見ろ。そんなに暇なら場所を変えて白雪美容室で何をしていたか聞かせてもらってもいいか?」 「カドタなんて知らない」 「この期に及んでもしらを切る気か」 「知らないものは知らない。いつまでそこにいるんだ。さっさと立て」 男は男の子の手を乱暴に掴むとそのまま引き摺っていった。痛い、離して!痛がる男の子には一切目を向けずに。女性がちょっと待ってよ!と慌ててあとを追い掛けていった。

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