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番外編恋の吊り橋作戦

「あのガキ、誰かに似てないか?」 「えっと……」 玲士さんの頭に真っ先に浮かんだのはとあくんのお兄ちゃんだった。 「察しがいいな。さすが俺の倅だ」 「さっき倅ってオヤジが言ったの、聞き間違いかなと思ったんですよ」 「間違ってはいないだろ?」 彼が玲士さんの肩にぽんと軽く手を置き、 「これからも期待しているぞ」 耳元で小声で囁いた。 「はい、オヤジ!」 背筋をぴんと伸ばし直立不動になって答える玲士さん。 「客の迷惑になるから静かにな」 彼がくすりと笑んだ。 「パパ、見て。出来たよ」 ちょうどそこへ一太が戻ってきた。ミツオさんが後ろにピタリとついていた。 「なんで立ってるの?」 「なんでだろうな。パパにも分からないよ。ミツオもこっちに移動してきたらどうだ?」 「俺は隣の席でいいです。あの家族連れを見張っています」 ミツオさんが隣の席に座った。 「ワッフル上手に出来て良かったな」 「うん。でもチョコソースがなかなか出なくて。ミツオさんに手伝ってもらったんだ。ミツオさん怪力なんだよ」 「そうか。それは良かったな」 「一太ね、ミツオさんが大好き」 一太に思いがけないことを言われ、ミツオさんが照れて真っ赤になっていた。 「なんで名乗らないんですかね?」 「自分の名前が嫌いなんじゃないか?女の子みたいな名前をつけられ、そのせいで嫌なあだ名で呼ばれていたことを思い出すからとか、親に名前でなく、オマエとかソレと呼ばれていたからとか」 「なるほど。オヤジの話しはためになります」 玲士さんが大きく頷いた。

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