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番外編恋の吊り橋作戦
額田さんの携帯に何度か掛けたけど繋がることはなかった。
そのすぐあとに七海さんから電話が掛かってきて。額田さんの容体を聞いていたときに背中に冷たい風が通り抜けたような気がした。
「今思えば今生の別れみたいな話し方だった。引き留めておけばこんなことにはならなかったのに」
今さら後悔しても遅い。
「未知さんのせいでも誰のせいでもないですよ。遥琉が引き留めていたとしてもこの非情ともいえる運命を避けることは出来なかったと思いますよ」
「福光家の呪いからは一生逃げられない。遠くまで逃げてもどんなに抗っても死ぬまで呪われ続ける。そんなのもうまっぴら。自分の代で終わりにする。ナオさんと青空さんには幸せになってもらいたいって額田さんは自分のことより二人のことを心配していた。やっぱりお姉さんですね」
鼻をずずっと啜った。
「四姉妹の中で唯一、まともな人だったと聞く。アイツの娘として生まれてこなければごく普通の人生を歩めたのに」
青空さんがふと空を見上げた。
「お礼が言いたかった、そう話していた」
「そうか」
彼の表情がいつになく険しかった。
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