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番外編恋の吊り橋作戦
「つい癖で。悪かった」
「ヤス兄貴に半殺しにされます」
「前途有望な若いのを半殺しにはしない」
「しますって、兄貴の顔を見て下さいよ」
「いつまでブスッとしてんだか。ミツオ、隠れてろ。一太が来る」
「坊っちゃんにすぐに気付いてもらえるように鈴でもつけておこうかな」
ミツオさんがもともと隠れていた場所にまた隠れた。一分もたたずして一太がミツオさんを探しにきた。目の前にいるのになぜか気付かなくて。そのまま素通りしていった。
「ヤス兄貴、全然近寄りもしなかったんですよ。ゆきうさぎ丸であちこち巡って、四季さんのところに入り浸って。弓削さんが帰ってきてからです。しょっちゅう顔を出すようになったのは。いいっすね」
「何がいいんだ?」
「そこは考えてくださいよ」
「そうか。せいぜい見付からないように頑張れ」
くすりと笑う弓削さん。
「いつまできめっこしてんだか、アイツは」
「でも手の掛かる子どもほどめんげだろう?」
「そうだけど。柚原、おめさんも相変わらず神出鬼没だな」
「そうでもないぞ」
柚原さんは両手に抱えきれないくらいの洗濯物を抱えていた。
「天気が下り坂だ。雨が降る前にヤスを家にいれてやれ。臍を曲げてうんともすんとも言わない」
「だからなんで俺なんだ?」
「目に入れても痛くないくらいめんげ弟分なんだろ?昔みたく……」
「ストップ。それ以上は勘弁してくれ」
「まだなにも言ってねぇぞ」
「分かった。ヤスを迎えに行けばいいんだろ?」
弓削さんがあやまったとぶつぶつ言いながらヤスさんを迎えに行った。
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