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番外編恋の吊り橋作戦

「兄貴、悪い。雨宿りをさせてくれ。あれ、弓削、ヤス、なんでお前らもびしょびしょなんだ?」 「まぁ、いろいろあってな」 「さてはきめっこして駄々をこねたか?」 「なんでもお見通しなんだな」 「あてっずぽうで言ったんだが……なるほどね」 バスタオルを信孝さんに渡してから、晴くんは僕、未来くんは彼に手伝ってもらってバスタオルで濡れた髪を拭いた。 「新しくオープンしたショッピングモールに自転車の練習を兼ねて出掛けたのはいいが、冷たい風が急に吹いてきたからきたから急いで帰ろうとしたらこの様だ。参った」 「なんでショッピングモールに戻らなかったんだ?コンビニエンスストアだってあっただろう」 「交通量の少ない田んぼの畦道を走っていたんだ。戻るんだったら、先に進んだほうがいいと思って」 「ナオに電話をしたのか?心配してるぞ」 「携帯を家に忘れてきて、橘に連絡をしてもらった。おっちょこちょいだよな」 「携帯が家にあるならいい。みずほさんのことでナオなにか言っていたか?」 「これといって何も。俺に余計な心配を掛けまいとあえて何も言わないのかも」 「晴くん、未来くん、ままたんが着替えをするよって」 ちょうどその時、一太が晴くんと未来くんを呼びに来た。 「信孝さんも早く着替えをしないと。風邪ひくよ」 「心配してくれてありがとう」 「あのね信孝さん、ナオさんに心配を掛けちゃ駄目だよ。何回も電話が来たってままたんが言ってたよ」 「はい、肝に銘じます」 信孝さんが嬉しそうに微笑みながら答えた。

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