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番外編恋の吊り橋作戦

「そう言えば宋からさっき連絡があったぞ。例の親子連れ、新幹線の中で乗客とトラブルを起こしてまた騒ぎを起こしていたらしい。で、あの父親だが、吉柳会の準構成員でひかりのみこの信者らしい」 柚原さんが彼にそう伝えに来た。 「はた迷惑な連中だ。子どもが可哀想だな」 「それがオヤジ、宋が妙なことを言ってまして」 「妙なこと?もしかして子どもがいつの間にか消えたとか?」 「なんで分かったんですか?さすがはオヤジです」 「褒めても何も出ねぇぞ。やたらと元気で落ち着きのない子どもだったからな、足手まといになるからどこかに置き去りにしたんだろう。あの夫婦ならやりかねない」 「子は親を選べませんからね、やりきれませんね」 「そうだな」 ヤスさんのことが二人の脳裏を過った。 「知らない町でたった一人。まわりは知らない人ばかりだ。怖くて、不安で、泣いているはすだ。雨に濡れて寒くて震えているかもしれない。K駅の構内と周辺を手分けして探してみるか。子どもには罪はない」 「オヤジならそう言うと思いました」 柚原さんがすぐに鞠家さんに連絡をいれた。蜂谷さんも知り合いの刑事さんに事情を話し捜索してもらうように頼み込んだ。 「見付かればいいね」 「そうだな。この雨だ、祭りの提灯を眺めながらどこかで雨宿りをしていればいいが。子どもが一人でいるんだ、誰でもいい。気付いてほしい」 「僕も遥琉さんと同じ」 鈍色の雲が夕刻の空をゆっくりと流れ、篠突く雨が窓を激しく叩いていた。 「どんなに泣いてもこの雨の音でかき消されてしまってまわりに聞こえないよね。お腹も空いてきて心細いと思う。子どもは宝ものなのになんで足手まといだからって置き去りにするかな」

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