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番外編恋の吊り橋作戦
「俺は昔からいろんなモノを拾ってきたんで、ヤスとミツオを連れて探してきます。ねえさんちょっこら留守します」
弓削さんが慌ただしく出掛けていった。
「マーさん亜優を置いていくからあと頼む」
菱沼金融で事務のアルバイトをしている亜優さんを送ってきた斉木先生。
「話しは鞠家さんから聞いてる。置き去りにされた可能性のある男の子がとあのあんちゃんかもしれないんだろ?」
「僕は直接見ていませんが、彼と玲士さんの話しだと顔が似ているみたいです」
「バーバさんがそう言うなら間違いはねぇべした。こだ寒いなか置いていかれてもごせこと。親をとっ捕まえてくらすけっぞ」
「斉木先生それだけは駄目です。訴えられたらどうするんですか?亜優さんを悲しませないで下さい」
「そだな。悪かったな」
斉木先生の表情が少しだけ和らいだような気がした。
「マーさん、行ってきます」
「斉木先生、くれぐれも気を付けて下さいね」
ことの成り行きを見守ることと、みんなを見送ることしか出来ないのが歯痒い。そんな僕の想いに気付いたのか、
「マーさんは悩んだ顔より、笑った顔のほうがめんげから、いつも笑っていて欲しい、それはみんな一緒だ。だから気にしっさんな」
斉木先生が明るい声で励ましてくれた。
「あ、さいきせんせいだ」
晴くんが笑顔で斉木先生に駆け寄った。
「晴くん久し振りだな。ピカピカの自転車を買ってもらったのか?」
「きのうあったよ。もうわすれちゃったの?じぃじとばぁばにね」
「そうか、良かったな。未来くんは……」
ささっと一太の後ろに隠れてしまう未来くん。
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