3855 / 4006
番外編恋の吊り橋作戦
「オヤジお休みのところすみません」
鞠家さんの声が廊下から聞こえてきた。
「どうした?」
「額田さんがオヤジと信孝と翔を呼んでくれ、伝えたいことがあると七海に伝えたそうです。信孝と翔には連絡してあります。すぐに来ます」
「そうか、分かった」
彼が前髪を掻きあげながらむくっと起き上がった。
「実は三十分ほど前に病院から今夜が山かも知れないと連絡があったと翔から電話があったんだ」
「手術は成功したんだよね?」
「思いの外出血の量が多かったと聞いている」
「そんな」
愕然とし言葉を失った。
「未知、留守番を頼む」
「遥琉さん、気をつけてね」
「ありがとう。もし何かあったら蒼生を叩き起こせ」
「うん、分かった」
「もう食べれません」
あおお兄ちゃんが口をモグモグさせながらまた寝言を口にした。なんの夢を見ているんだろう。
「呑気なヤツだな。蒼生、未知と子どもたちを頼むな」
彼が声を掛けると、
「卯月蒼生、この命にかけて守ると誓います!」
ぴんと背筋を伸ばして答えるあおお兄ちゃん。
あれ、もしかして起きてた?寝ていたフリをしていただけだったの?動揺していると腕が伸びてきた。
「あとは任せろ。未知、少しは寝ろ」
ぶっきらぼうな言い方をするあおお兄ちゃん。
彼が安心したようにくすりと笑った。
ともだちにシェアしよう!

