3856 / 4006
番外編恋の吊り橋作戦
日がカッと照り付けていた。
「朝からムシムシして暑いな。福島が東京よりも暑いなんて聞いてないぞ」
あおお兄ちゃんが怨み節を口にしながら額の汗を手で拭った。
ミツオさんらが大きなスーツケーツをワゴン車に乗せていた。そのとき、
「イテテテ、痛い!離せ!」
喚き散らす声が聞こえてきて。何事かと一斉に振り返るあおお兄ちゃんたち。
「人のあとをつけ回して、ジロジロと見やがって。気分がいいものじゃない。それに隠し撮りは駄目だろう」
男の首根っこをむんずと掴み、お兄ちゃんたちの前に乱暴に引きずり出したのは森崎さんだった。
「証拠がどこにあるんだオッサン」
「この期に及んでシラを切る気か?」
森崎さんが携帯を片手で操作しはじめた。
「なんで暗証番号を知ってんだよ」
「指の動きを見れば簡単だ」
「嘘だろ。オッサン何者だ?カタギじゃねぇだろう」
「カタギだ。どこをどう見てもカタギにしか見えないだろう」
「どの口が言ってんだか」
お兄ちゃんがやれやれとため息をついた。
「間違ってはないだろう。腕がいいな。水も滴るいい男が、ますます格好よく見えるぞ」
お兄ちゃんに携帯をぽんと渡す森崎さん。
「俺だ。いつの間に」
まさか撮影されていたとは思ってもみなかったお兄ちゃん。驚いたような声をあげた。
ともだちにシェアしよう!

