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番外編恋の吊り橋作戦

日がカッと照り付けていた。 「朝からムシムシして暑いな。福島が東京よりも暑いなんて聞いてないぞ」 あおお兄ちゃんが怨み節を口にしながら額の汗を手で拭った。 ミツオさんらが大きなスーツケーツをワゴン車に乗せていた。そのとき、 「イテテテ、痛い!離せ!」 喚き散らす声が聞こえてきて。何事かと一斉に振り返るあおお兄ちゃんたち。 「人のあとをつけ回して、ジロジロと見やがって。気分がいいものじゃない。それに隠し撮りは駄目だろう」 男の首根っこをむんずと掴み、お兄ちゃんたちの前に乱暴に引きずり出したのは森崎さんだった。 「証拠がどこにあるんだオッサン」 「この期に及んでシラを切る気か?」 森崎さんが携帯を片手で操作しはじめた。 「なんで暗証番号を知ってんだよ」 「指の動きを見れば簡単だ」 「嘘だろ。オッサン何者だ?カタギじゃねぇだろう」 「カタギだ。どこをどう見てもカタギにしか見えないだろう」 「どの口が言ってんだか」 お兄ちゃんがやれやれとため息をついた。 「間違ってはないだろう。腕がいいな。水も滴るいい男が、ますます格好よく見えるぞ」 お兄ちゃんに携帯をぽんと渡す森崎さん。 「俺だ。いつの間に」 まさか撮影されていたとは思ってもみなかったお兄ちゃん。驚いたような声をあげた。

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