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番外編恋の吊り橋作戦
「どこかで見たことがあると思ったら誉と一緒にいた男だろ?仲間を置いて真っ先に逃げ出した」
「違う」
男がプイッとそっぽを向いた。
「ふぅ~~ん」
解せぬという顔で男の前にしゃがみこむ森崎さん。
「知りたくないか?お前の仲間がどうなったか?くそ暑い中汗水垂らして教祖さまの為に一緒に募金活動をした仲だろ?」
真一文字に唇を固く結ぶ男。
「俺は優しいからな、教えてやる。宇賀神組に手塚っていうかなりヤベェーヤロウがいるんだが、ソイツが引き取った。手塚に関わったらろくなことがない。だからやめろってて言ったんだが」
「言っても無駄だ。お前の友だちよりも性癖がかなりヤバい男だ。気の強いじゃじゃ馬ほど躾しがいがあるとやる気満々になっている」
あおお兄ちゃんが補足説明をすると、男の表情が変わった。友だちじゃないときっぱりと否定したけど明らかに動揺しているようだった。
「誉になにを命じられた?蒼生の命か?それとも久弥の命か?」
「お前たちには関係ない」
「関係ある」
お兄ちゃんと森崎さんにじろりと睨み付けられ額から汗をだらだらと流して震え上がる男。森崎さんは男の尻ポケットが膨らんでいることに気付き、
「何を隠し持っているんだ?素直に出せば今回は見逃してやる」
静かな声で問いかけた。
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