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番外編恋の吊り橋作戦
「その大きさからしてボイスレコーダーか?」
図星だったみたいで男がギクッとした。
「確かあの二人もボイスレコーダーを持っていたな。教祖さまのありがたくもないお話しを録音してあったな」
「まゆこ様を侮辱するのか!」
男が激しい口調で叩きつけるように言った。
「本当のことを言って何が悪い?虫一匹殺したことがない人畜無害、仏様のツラを被ったただの殺人鬼だろう?外面じゃなく、中身を見ろ」
森崎さんの長い指が男の頤をクイと掬あげた。
「お前もまゆこ好みの童顔でめんげぇツラをしているんだな。今ならまだ間に間に合う」
「森崎の言葉がお前の耳に1ミリたりと届いてないのは分かる。五月蝿い、うざいとその程度にしか思っていないだろ?コイツを怒らせたらこぇーぞ」
「いやいや蒼生の足元にも及ばない」
「謙遜するな」
「謙遜していない。本当のことを言ったまでだ。場所を変えようか?時間はたっぷりとある。じっくりと聞かせてもらおうか。まゆこさまのありがたくもない話しとやらを」
森崎さんが表情を変えずにフフッと微笑んだ。ついさっきまで余裕綽々としていた男の顔から血の気が一気に失せて、真っ青になって震え上がり沈黙した。
「どうした?さっきまでの元気はどこにいった?」
「もしかして今ごろ怖じ気づいたのか?」
近寄りがたいオーラをまとわせおた兄ちゃんと森崎さんが愉しげに笑いながら涼しげな表情で男を見下ろした。
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