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番外編恋の吊り橋作戦
「優輝大丈夫?」
一太とめぐみちゃんがコンビニエンスストアから飛び出してきた。
「青空さんが飛んでいったからなにごとかと思った」
「青空さん、ありがとう。お尻いたくない?」
「俺は大丈夫だ。柔じゃない。心配してくれてありがとうな。でも優輝が……」
青空さんのタンクトップにしがみついたまま、真っ青な顔でガタガタと震える優輝くん。
「状況が飲み込めて、昔のことをいろいろと思い出したのかもな」
「私がトイレに行きたいって言ったからだ」
「めぐみちゃんが一人で怖いって言ったから、一緒について行ったから、優輝くんを一人にしたからだ」
「一太もめぐみも悪くない。だから気にすんな」
「だって……」
申し訳なさそうに目を見合わせる一太とめぐみちゃん。
「アイスクリームを食べに行くんだろ?だからそんな顔をするな」
青空さんがにっこりと微笑むとようやく安堵する一太とめぐみちゃん。
「誰かが救急車を呼んだみたいだな」
担架を脇に抱えた三人の救急隊員が走ってきた。
「食い物の恨みは怖いんだぞ。参ったな、大事にする必要はないのに……」
彼が眉をひそめた。
「オヤジ、俺と青空が残ります。面倒なことになる前に移動してください」
「悪いなハチ」
「悪くないですよ。青空、動くなよ」
優輝くんを抱っこしたまま立ち上がろうとしていた青空さん。蜂谷さんに言われお尻を床にぺたんとくっつけた。
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