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番外編恋の吊り橋作戦
「パパ、カレーフェスだって。お腹空いた」
「私もお腹がすいた」
一太とめぐみちゃんが彼の顔を見上げた。
「アイスは別腹だもんな」
「うん」二人同時に返事をした。
「まずは並んで食券を買わないと。未知は弓削とミツオと一緒に待っててくれ。優輝はどうする?」
「お腹あんまり空いてないからいらない。未知さんたちと一緒にいる」
「そうか、分かった」
無理強いするのも悪いと彼が一太とめぐみちゃんを連れて列の最後尾に並んだ。ここでも彼は有名で、
「卯月さんお久し振りです」
「暑い中並んでもらってすみません」
顔見知りなのかスタッフみんなが彼に声を掛けていた。
「一太くんのパパはどこにいっても有名人だね」
めぐみちゃんが一太の耳元に囁いた。
「そんなことないよ」
「そんなことある。はるせんせーすっごくカッコいいし、超人気者だし、これってすごいことなんだよ」
「え?そ、そうかな……でも家では……ううん、なんでもない」
興奮するめぐみちゃんに一太のほうがタジタジになっていた。パパね、なぜかままたんの前ではすごく小さく見えるんだとは言えなかった。
「言わずが花。さすがは一太だ」
弓削さんが苦笑いを浮かべていた。でもすぐに表情を引き締めた。
「弓削さん?」
「うまい具合に二人減り、一人減り……」
「なんのことですか?」
「弾よけの数だ」
ヤスさんはその言葉の意味を理解することが出来ず首を傾げた。
「つまりこういうことだ」
弓削さんが急に振り返ると、ちょうど真後ろにいた男の頭を片手でガシッと鷲掴みした。
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