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番外編恋の吊り橋作戦

「ねえさんに用があるならまずは俺らを通してもらわないと。それにそだ物騒なモノを持ってうすらかすらしてんじゃねぇぞ。チビッ子が大勢いるんだ。あぶねぇべした」 「うるさい」 男が弓削さんを睨み付けた。 「弓削さんこの男……」 ヤスさんが驚いたような声をあげた。 「のこのこ戻ってきたのか。菱沼組と違い縣一家はおっかねぇーぞ。どう落とし前をつけるんだ?」 「なんで縣一家が……」 「よ~く考えれば分かることだ。警備が手薄になるように仕向けたつもりだろうけどたぬきの皮算用だったな。オヤジを騙すなど100年早い。お前みたいな男がねえさんに近づくなど甚だしい」 弓削さんに凄まれて男が恐怖のあまりひぃーと声をあげた。 「佐治、優輝が気づく前にコイツを事務所に連れていけ。丁重におもてなしをしてやれ」 弓削さんに言われてはじめて佐治さんたち若い衆がいることに気づいた。さっきまでいなかったのに。いつの間に。 「カシラについてきたらコイツが目に入ったんですよ。ねえさんに近づくとはいい度胸をしている」 ポキポキと指を鳴らす佐治さん。 「佐治さん暴力は駄目ですよ」 「分かってますよ」 にっこりと微笑む佐治さん。すごく嫌な予感がするのは気のせいかな。ううん、気のせいじゃない。だってお兄ちゃんと一緒に帰ったはずの弾よけの人が佐治さんと一緒にいるんだもの。三人いる中でコイツが一番腕っぷしが強いってお兄ちゃんが言ってたもの。 「俺はオヤジの忘れ物を取りに戻っただけ。ちょうど良かった」 彼もまたにっこりと微笑んでいた。

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