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番外編恋の吊り橋作戦

「兄貴が優輝に焼きもちを妬くなんて。心が狭くないですか?」 「うるさいな」 来た早々痛いところをヤスさんに言われてグーの音もでない弓削さん。 「兄貴はねえさんとのデートを邪魔されてちょっとだけ機嫌が悪いんですよ」 ヤスさんが優輝くんの隣に腰を下ろした。 「そうなの。ゆげさん、ごめんなさい。ぜんぜん知らなかった」 「いいだ。気にするな。祭りのときにねえさんとデートをする約束だから」 「いいなぁ~~未知さんと二人きりなんて。僕なんか、ままたんとぱぱたんと三人でお出掛けなんて買い物以外行ったことないよ。僕お兄ちゃんだからめぐみとハルちゃんと幸ちゃんにゆずらないないといけないから」 寂しそうにうつむく優輝くん。 「優輝くん、顔を上げて。僕のほうから頼んであげるから元気を出して」 「ほんと?」 「夏休みはまたはじまったばかりだし、思い出をたくさん作ろう。行きたいところはある?」 「うん。いっぱい」 笑顔で即答すると両手を大きく広げる優輝くん。 「安請け合いしていいんですか?」 「なるようにしかなりません。駄目もとで聞いてみます」 「ねえさんらしい」 「さすがはねえさんだ」 弓削さんとヤスさんが同時に笑った。 「そういえばさっき何て言おうとしたんだ?」 「目だよ」 「目?」 「うん」優輝くんが大きく頷いた。

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