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番外編彼のもう一つの素顔

「ヤスの念願がようやく叶ったか。お前ら絶対に二人の邪魔をするなよ。遠くから見守ってやれ」 警備の舎弟を二人残して僕たちは家に帰ることになった。 「あ、そうだ」 エスカレーターをおりたとき彼がポケットから何かを取り出した。 「弓削とデートをするのに必要だろ?付けてやるから動くなよ」 「めぐみと一太くんで選んだんだよ」 めぐみちゃんが身を乗り出した。 「ノンホールのピアスだ。水色の水風船だ。あとで鏡で見たらいい」 「他にピンクのかき氷と金魚のがあったんだけど、はる先生がどれにしていいか悩んでいたから、未知さんには水色が似合うって一太くんと話したんだ」 「そうなんだ。遥琉さんありがとう。一太もめぐみちゃんもありがとうね」 「未知さん可愛い。一太くんもそう思うでしょう?」 「う、うん。可愛い」 ハキハキと話すめぐみちゃんに、たじたじになる一太。 「ちょっと優輝。道草をしないの」 一階のインフォメーションの隣にピアノが置かれてあって興味を示した優輝くんが近付いた。 「優輝、はる先生のピアノが聞きたい」 「は?何を言い出すかと思ったら……」 彼が一瞬呆気に取られた。 「めぐみも聞きたい。一太くんも聞きたいでしょう?」 「ブランクがあるからな」 「じゃあ、きらきら星は?」 どうしても彼にピアノを弾いてもらいたいめぐみちゃんと優輝くん。そう簡単には引き下がらなかった。

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