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番外編彼のもう一つの素顔

「呼びましたか?名前を呼ばれた気がしたので」 障子を両手で抱えた穣治さんがひょっこり現れた。 「穣治か。暑いのに精が出るな」 「たいくんたち、障子にパンチしてぶりぶりしたので」 「そうか。張り替えたばかりなのに悪いな」 「大丈夫です」 やけに静かだ、大人しいと思ったら悪戯をしている太惺と心望。新聞紙や障子なんでも破ったり、テッシュを引っ張ったりして散らかしたり、棚から物を落としたり、投げたり、二人で悪戯ばかりしている。 「そうやっていろんなことを経験して子どもは大きくなるんだ。穣治、イライラしたり怒りたくなる気持ちも分かるが、心を広くな。俺で良かったら愚痴ならいくらでも聞いてやる」  「愚痴なら俺でも聞ける。オヤジは忙しいんだ。オヤジの手を煩わせるな」 「ありがとう、ヤスさん。心を広くして、怒らない。頑張る」 ペコリと頭を下げる穣治さん。 「穣治さん、落としてるよ」 一太が障子を抱えて走ってきた。 「どうりで足りないわけだ。ありがとう一太」 「お手伝いする?」 「いいのか?客間だから真っ直ぐに貼らないといけないんだ。それがなかなか難しくてな。客が来る前に張り替えが終わらせないといけないんだ。助かるよ」 心強い助っ人の登場に穣治さんの表情が緩んだ。 玲士さんがなかなか帰ってこなくて心配していたら、佐治さんと仲良く連れ立って帰ってきた。亜優さんにお土産を買うのにあれこれ迷ったみたいでそれで帰ってくるのが遅くなったと話していた。

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