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番外編彼のもう一つの素顔

「ヤス兄貴のあんな嬉しそうな顔初めて見ますよ。四季さんと一緒のときも嬉しそうにしていますけど、それとはまた違います」 「そうですね。玲士さん、つかぬことを聞きますが高松さんの用事って……」 「息子が親に内緒で店を担保になやい金融という聞いたこともない消費者金融から金を借りていたみたいで、調べてみたら龍一家のフロント企業でオヤジが社長だと知り、同姓同名な人がいるんだと思いながら名刺にあった電話番号にためしに掛けてみたそうです」 「高松さんって意外と大胆不敵な方なんですね」 「そうですね。俺だったら怖くて電話なんか掛けられませんよ。話しの続きですが、留守番電話サービスに転送されて、若い男が電話に出るなりいきなり恫喝してきて高松さんはびっくりして電話を切ったそうです。そのあとも何回か知らない番号から電話が掛かってきて、さすがに怖くなって着信拒否をしたそうです。その番号を教えてもらいました。高松さんには余計なことは言わず、やない金融はだいぶ前に廃業になったとだけ伝えておきました。狐につままれたような表情をしていました。高松さんは靴屋だけでなくいくつか駅前に不動産を保有しています。だから狙われたんじゃないですか?」

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