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番外編彼のもう一つの素顔
「国井さん……ですよね?」
自信がなかったから小声で答えると、
「当たり。なんで俺だって分かった?」
「なんとなくです」
「さすがは未知さんだ。卯月以外の男には興味がないと見せかけてちゃんと見るところは見ているんだな」
「これからチカちゃんに会いに行くんですか?」
「チカに会いに行きたいんだが、それが仕事なんだよ。これから新潟に向かわないといけない」
「お仕事なのにわざわざ寄っていただいてありがとうございます」
「帰るたびに子どもたちに熱烈歓迎されるから、子どもたちの顔だけ見てから行こうとしたんだが考えが甘かった」
「ハルちゃん、あいたかった」
「おじちゃんも会いたかったよ」
「くにいさん、あそぼ」
「あと十分な。おじちゃん怒られるから」
「ハルちゃんとそのひとと、どっちがだいじなの?」
頬っぺたを膨らせる遥香。チカちゃんに言い方がそっくりだ。
「そりゃあハルちゃんに決まっている。でも仕事も同じくらい大事なんだよ」
国井さんがタジタジになりながら答えた。
「本物の国井さんですよね?」
「もしかして疑われている?」
「語弊があったらすみません」
「変装のプロが何人もいるんだ。疑われるのも無理がないか。よし分かった。ハルちゃんちょっとだけ目を閉じててな。おじちゃんがいいよって言うまで」
国井さんがおもむろにネクタイを緩めワイシャツを脱ぎ出したからびっくりした。
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