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番外編彼のもう一つの素顔

きゃはは。あっはっは。庭のほうから子どもたちのはしゃぐ黄色い声と賑やかな笑い声が聞こえてきた。 「国井のヤツ、手ぶらでは悪いと思ったんだろう。ビニールプールを手土産に持ってきたんだ」 「お金を使わせてしまってなんだか申し訳ないなって」 「みんな孫みたいで可愛いって言ってるんだ。気にするな。それが国井の楽しみでもあるから」 「孫って……国井さんって面白い」 ぷぷぷっと思わずふきだすと、 「さて、もうキスをしてもいい?」 顔を覗き込む彼と目があった。 「うん」 改めて言われると恥ずかしい。 陽葵が起きそうで起きない今のうちにと彼に抱き締められた。こくんと頷いて目を閉じると、柔らかな唇が重なってきた。火照る頬を撫でられながら、口を開けろと言わんばかりに唇の隙間を少し舐めれられた。おずおずと隙間を作ればねっとりとしたものが滑り込んできた。熱くて濡れたそれにいまさらのように驚き、びくりと怯むと彼が首筋に手を滑らせ後頭部を包み込んだ。 「久し振りだったから怖がらせたか?」 「ううん」首を横に振った。 「良かった」 彼を呼ぶ子どもたちの声が聞こえてきた。 「だからパパじゃなくてもいいだろう。貴重な二人きりだったのに……次はいつになるか分からないのに……モテるパパは引っ張りだこだから潔く諦めろって橘の言った通りだな」 ガックリと肩を落とす彼。

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