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番外編彼のもう一つの素顔

「プールが壊れるからぶん投げるの禁止だぞ」 「分かってるって。子どもが真似をしたら危ないからな。それはそうと、俺の偽者が悪さをしていると小耳に挟んだ」 「卯月の偽者か。お前も有名になったな」 「有名になんかなりたくねぇよ。未知と子どもたちと、舎弟たちを守るのでこっちは精一杯だからな。悪さをするまで手が回らない」 「ハハハ、そうだよな」 国井さんが高らかに笑った。 「俺も甲崎も聞いている。卯月の偽者を騙るとはよほど命が惜しくないと見える。卯月を知る者はそんなことはしないと笑って一蹴するが、中にはヤクザイコール悪党とはなから決めつけて信じる者もいる。年代で価値観の違いがこうも違うとはな。まわりがどうこう言おうが俺も甲崎も卯月が人様を傷付けるような悪いことをしないと信じている」 「国井、ありがとうな」 「甲崎も弟を卯月に婿に出して良かったと話していたぞ。頼りにされ可愛がってもらっているようで感謝していた 「俺の婿はみんな可愛いぞ。そして自慢の婿たちだ」 彼が国井さんをようやく下ろした。 「これから行く町では神政会と楮山組が薬物絡みで対立し発砲事件にまで発展したと聞く。用心に越したことはない。チカや俺たちを悲しませるようなことだけはしないでくれ」 「ありがとう卯月。絶対にまたここに帰ってくるよ。約束する」 「国井さん、アイス食べたいな」 「僕も」 めぐみちゃんと優輝くんに言われ、 「なにがなんでもアイスを買って帰ってこないとな」 国井さんの表情が緩んだ。

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