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番外編彼のもう一つの素顔
「卯月が母ちゃんで千里が父ちゃんだな」
「藪から棒になんだ」
「ここまで大きくなった組織をまとめるには時には心を鬼にして構成員たちに厳しくあたらないといけないだろ?千里は口やかましい雷親父でとにかく怖い存在でないと他の組にバカにされる。示しがつかない。卯月は千里をフォローしつつ、本部役員と直参の組長たちの橋渡しをしつつ、組長と構成員のクッション材になっている。それでいい塩梅にうまく組織が纏まっている。だから卯月は昇竜会の母ちゃん的存在、身内でそう言われている」
「マジか。冗談も休み休み言え」
「冗談でこんなことが言えるか」
「俺より蒼生のほうがたいしたもんだ。蒼生を褒めてやってくれ。俺はそんなに目立たなくていい」
彼が国井さんの手を引っ張り縁側に連れていこうとしたら、
「ただいま、戻りました」
信孝さんと翔さんが連れ立って帰ってきた。
「国井、なんでお前がここにいるんだ?新潟に向かったはずじゃなかったのか?」
信孝さんの表情が険しくなった。
「これはどうこう状況なんだ?説明してくれ」
冷ややかな目で国井さんを睨み付けた。
「その目付き、遼成にそっくりだな。やっぱり兄弟だな」
「話しを逸らすなよ」
信孝さんが語気を強めた。
「逸らしてないよ。先に着替えだけさせてくれないか?こんな格好じゃあ未知が目のやり場に困るから」
「……わかった」
やや間を置いてからぶっきらぼうに答えた。
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