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番外編彼のもう一つの素顔

「翔、話しぶりから国井は病院に来たのか?」 「あぁ。県警の連中とな。国井はソイツは違うと否定していたが公安が一人混じっていた。俺と信孝がいることは連中は知っていたが、まさか鷲崎さんと渋川さんがいるとは思わなかったのだろう。ガンを飛ばして互いに一歩も引かずまさに一触即発の状態だった」 「敵同士の組長が仲良く一緒にいるんだ。そうなるわな」 「仲が悪いのは見せかけで本当は二人は仲がいい。そういえば鷲崎さんと渋川さんから苦情が来てるぞ。未知を使うのは卑怯だろう、反則だって」 「そうか。それは悪かったな。額田さんは?」 「山は越えたからあと数日は入院が必要だが、今月末にはアメリカに戻れるんじゃないかって」 「不屈の精神の持ち主だな」 「ただ突っ立っていないで集まった支援者たちをさっさと追い払うように公安に命じたくらいだからな。自分はもう福光の人間ではない。国会議員でもない。ただの人。だから税金を使ってまで守ってもらう権利はない。もうほっといてほしい。きっぱりと言い切った。卯月は国井ともラブラブなんだな。どのタイミングで声を掛けていいか正直迷ったぞ」 「頼むからその話しはこれで終わりだ。これ以上火に油を注がないでくれ。チカにバレたら一貫の終わりだ」 彼が急にあたふたしはじめた。 彼と一緒に子どもたちと水鉄砲をしたり、水を掛け合ったり、ビーチボ―ルで遊んだり、晴天の下おもいっきり遊ぶ信孝さん。 「駐車場にまで賑やかな声が響いていたから何事かと思ったが。童心に返るとはまさにこの事だな」 「会長、お帰りなさい」 泊まり掛けで外出していた度会さんが帰ってきて、若い衆の表情が一斉に引き締まった。

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