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番外編彼のもう一つの素顔

「会長は大人しくしててくださいよ」 弓削さんがボソリと呟いた。 「何で?俺だけ仲間はずれか?まだまだ若い者には負けないぞ」 「会長まで混ざったら収拾がつかなくなるからです。それよりも会長にはこれをお願いします」 大きなシャボン玉を作るプラスチック製の輪っかを度会さんに渡す弓削さん。 「陽葵ちゃんに大きなシャボン玉を見せてあげたいと、たいくんとここちゃんからです」 「そうか、よし分かった」 グリーンの色の作務衣の袖を捲る度会さん。 「割烹着姿、なかなか似合っていたのになんで脱いだ?」 「なんでその事を会長が知ってるんですか?」 弓削さんの声が上擦った。 「何でだろうな」 フフっと笑う度会さん。 「待受画面にするくらい惚れているってことだろ?若いのに囲まれて、十歳若返りそうだ」 「あらあらそんなに若返ってどこぞの綺麗所を口説くおつもりですか?」 間髪入れず紫さんに耳の痛いことを聞かれ、 「口説く訳がないだろう」 しどろもどろになって答えていた。 遊び疲れたのか子どもたちはみんな寝てしまい、家の中がしんと静まり返っていた。盆と正月がいっぺんに来たように毎日賑やかで、静かだと逆に落ち着かなくて、洗濯物を畳んで片付けたり、散らかっていたおもちゃを片付けたりしていたら、 「働きすぎだ。子どもたちが寝ているときくらいゆっくり休め。あとは俺がやっとくから」 やっぱり彼に見つかってしまった。 「誉が無事で良かったのか、はたまた行方知れずのままが良かったのか。難しいな」 「そうですね」 度会さんに話し掛けられ、おもちゃを片付けながら彼が答えた。 「高松の話しも非常に興味深い。高松は嘘をつくようなそんな人ではない。卯月の偽者とやない金融か」 度会さんがふと後ろを振り返った。

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