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番外編彼のもう一つの素顔
額田さんが出国するまで見守ってもらいたいんです。そうお姉ちゃんに頼もうとしたら、
―ついさっき、額田さん本人から迎えに来て欲しいって電話が入ったのよ。このまま病院にいたら間違いなく殺される。だから鷲崎と渋川がサツの相手をしている隙にひそかに病院を抜け出したみたいよ。裕貴に迎えを頼んだわ―
「そうだったんですね」
―未知に頼まれればしょうがないわね。のちのち面倒なことになるからなるべく関わらないようにしていたんだけど。分かったわ、出国するまで面倒をみてあげる―
「お姉ちゃんありがとう」
―写真興味深いわね。アタシも見たいな、未知の盗撮された写真。約束したのにタブルお兄ちゃんね、ぜんぜん未知と子供たちの写真を送ってくれないのよ。酷いと思わない?―
電話の向こう側から明るく元気な凪くんと碧くんの声が聞こえる。
―でもそうか。子供たち夏休みだから朝昼晩三食作らないといけないし、それに洗濯物だってすごい量だろうから、あんまり我が儘を言っちゃ駄目よね。毎日暑いから未知も体には気を付けるのよ。東京も暑いけど福島はもっと暑いものね―
他愛もない会話を交わしていると、ママ、もしもし誰?はる先生?僕ももしもししたい。凪くんと碧くんの声が聞こえてきた。
相変わらず彼は子供たちに人気で引っ張りだこだ。彼に携帯電話を返した。
「喧嘩すんなよ。ちゃんと聞こえているから」
凪くんも碧くんもたくさん話したいことがあるみたいで、なかなかお姉ちゃんに代わることが出来なかった。
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