3908 / 4006
番外編彼のもう一つの素顔
「渡会さんに言われて玲士さんと駅構内を見てきました。圧巻の光景でした。ご当地キャラも浴衣を着てひょっとこのお面を頭に乗せていました。スマホで写真を撮っている人なんていないだろうと思ったんですが、けっこういました。老若男女みんなに愛されているんですね」
「斉木さんは緊張すると訛らないんだ。なかなか面白いな」
「レジェンドが二人もいるんですよ」
「レジェンドか。ただの呑んだくれの隠居じじぃだよ。儂らも有名になったものだ。なぁ、渡会」
「そうだな」
缶ビールをちびちび飲むながら談笑する三人。
「ウ―とうまくやっているようで良かった」
「愛想をつかれないかヒヤヒヤどきどきですよ」
「そうか、それは大変だな」
クククと笑う渡会さん。
「新幹線の改札口のところに土産屋があって、玲士さんが木彫りのあかべこのガチャガチャを見つけたんです。玲士さんとためしに一回ずつ回してきたんですよ。おなじ赤いのでした。玲士さんとは妙に馬が合うんです。同じ婿同士、仲良くできそうです」
「その台詞、卯月が聞いていたら泣いて喜ぶぞ。カシラとはどうだ?」
「鞠家さんは俺の大好きなあんにゃです。どこまでもついていきます」
「そうか。斉木が来てくれて良かった」
渡会さんが嬉しそうに目を細めた。
ともだちにシェアしよう!

