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番外編彼のもう一つの素顔

「なにもさ強い女として生きなくてもいいんじゃないか?弱くてもいいんじゃないか?誰かに頼って生きるのもアリだと思う。あんたはよく頑張った。もう頑張らなくていい。あんたの帰りを待っている子供たちと時の流れに身を任せ、のんびりと過ごしたらどうだ?」 「そうね」 額田さんがなにかに気付いた。 「ちょっと刺青増えてない?」 「それか?これはここちゃんがマジックで間違って描いた。花には見えないが一応花だ」 腕を嬉しそうに見せる青空さん。 「青空さんはいいお兄ちゃんをしてるのね」 ぷぷッとふきだす額田さん。 「泣いたり、笑ったり忙しい人だな」 青空さんが後ろを見ると、お気に入りのタオルを引きずりながら、指をくわえる心望と目があった。 「ここちゃん、じゃましちゃだめだよ。そらさん、だいじなおはなししてるから」 遥香が心望を呼びにきた。 「みずほさん、おかえりなさい」 満面の笑みを浮かべる遥香。 まさかおかえりなさいと言われるとは思っていなかった額田さん。驚いたように目を見張った。 「遥香ちゃん、ただいま。また来ちゃった。動けるようになるまでしばらくお世話になるわね」 「いっぱいいていいよ」 「遥香ちゃん、ありがとうね」 一度は止まったはずの涙がまた溢れた。 「オヤジ、玲士さんから連絡がありました。磐越自動車道のサービスエリアで発砲事件です」 若い衆が緊張した面持ちで彼に伝えた。 「佐治と玲士を先回りさせておいて良かった。国井は無事なんだろうな?」 「そこまでは……」 言葉を詰まらせる若い衆。険しい表情を浮かべた。

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