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番外編宋さんのお友だち
「なんでヤクザに?」
「保をまもりたいんだと」
「保?」
一瞬首を傾げる柚原さん。
「和真の恋敵ですよね?なるほど。分かりやすい男ですね」
「かれこれ七年片思いをしているそうだ。保が橋本と幸せなら自分は出る幕はない。諦めていたが、橋本の本性を知り、保を守るためには強くならないとならない。だからヤクザになろうと決めたらしい」
「別にヤクザにならなくてもいくらでも方法はあると思うんですが……」
「鞠家も同じことを言っていた。強情だし口が悪いのが玉に瑕だが、根は真面目な男だ。みなが嫌がるトイレ掃除を黙々としているそうだ。将来有望株がまた一人増えた。玲士や慶吾たち、若い者がずっといれる風通しの良い菱沼組を作ってやらないとな」
「そうですね」
「あと心配なのは国井の行方だ。すでにチカの耳にも入っていることだろう。国井が今まで関わってきた事件で恨みを買っていたか、それとも一緒にいた公安と間違えられたか。いずれにせよ連絡待ちだな」
その直後、彼の携帯電話の着信が鳴った。
「誰からです?」
「宋から紹介された《《お友だち》》からだ」
「お友だちって、死神のメンバ―でしょう。まともな人だと願いたいです」
「類は類を呼ぶだ。二人の上をいくとんでもない変態かもな」
彼がニヤリと笑った。
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