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番外編宋さんのお友だち

「宋さんお帰りなさい」 宋さんを真っ先に見つけた一太。駆け寄ると長い脚にぎゅっとしがみついた。 「俺に会いたかったと聞いた。嬉しくて涙が出た。俺も一太に会いたかったぞ。元気にしていたか?」 「うん」大きく頷く一太。 「ご飯もってくるからすわってて。どこにも行かないでね」 一太が台所へバタバタと走っていった。 「行かないよ。一太のパパと男の約束をしたからな。破ったら針を千本のむようになるからな。と言ってももう聞こえないな。優輝、隣に座ってもいいか?」 「いいよ」優輝くんが笑顔で頷いた。 「優輝は将来何になりたいんだ?」 「まだ、わかんない」 「そうか、それもそうだな」 宋さん、宋さんとめぐみちゃんたちが集まってきた。未来くんは相変わらずナオさんの服を握りしめ背中に隠れていた。 そういえば子どもたちも国井を慕い、懐いていたな。子どもたちは見てくれで判断しない。子どもが好きな人とそうじゃない人が分かるんだから不思議なものだ。なんか、悪いことをしたな。そんなことを思いながら、一太が運んできたてんこ盛りのカレーをぱくぱくとすごい勢いで食べはじめた。 たまたま国井は運が良かった。それだけのことだ。生きるか死ぬかは紙一重だ。生命ほど儚いものはない。 膝の上に置いていた携帯電話がブルブルと振動しチラッと確認する宋さん。 「なんでこうも変態ばっかなんだ」 ため息まじりにボソリと呟いた。

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