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番外編宋さんのお友だち
「興奮し過ぎて鼻血を出すなよ」
「鼻血が出ても一太がいるから面倒みてもらうからいいんだ」
「俺の息子を使うな」
「なんか言ったか?」
「都合の悪いことになるとすっとぼけるのは相変わらずだな」
彼がくくっと笑った。
「莫は国井を餌にしてテロを起こそうとしている。シェドの教団を脅かそうとする人は全員敵。闇から闇に葬る。死体が出てこなければサツは動かない。事件性はない。ただの家出扱いになる。卯月の偽者も莫が関与しているかもな」
宋さんがジャケットの内ポケットから携帯電話を取り出した。
彼の携帯電話がブルブルと振動した。
「写真、送った。あとは宜しく」
宋さんが手を振ると風呂場へ向かった。
彼が隣にいた玲士さんに写真を見せた。
「一枚は伊澤さんが持ってきた写真と同じですね。となると総選挙のときの写真ということになりますか?」
「あぁ。おそらくリンリンというヤツも事務所スタッフか聴衆として潜り込んでいたということだろう」
「この中から探すのは無理がありませんか?」
「いや、そうでもないぞ。二十代の若い男性、やせ形で背が高い、がっしりとした体格、顔つきや目付きが違う、カタギとは違うオ―ラを漂わせている、そういう人をピックアップしてまわりの人を消すんだ。そうするとおのずと一人に絞られる。パソコンにこの写真を送ったから亜優と二人で確認してほしい。こういうのはお前と亜優が得意分野だろう。玲士、任せた。頼んだぞ」
「は、はい」背筋をぴんと伸ばして直立不動になり返事をする玲士さん。任せた、頼りにしている。彼から嬉しい一言を言われて玲士さんのモチベーションが一気に上がった。
「あ、でも、今日は疲れただろうから明日でいいからな」
「はい、分かりました」
腰を九の字に曲げて玲士さんが深々と頭を下げた。
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