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番外編宋さんのお友だち
「りんりんとどっかで会ったことがある?いや、そんなまさか。でも、ないとは言い切れないか」
「オヤジ、独り言ですか?」
弓削さんが彼に声を掛けた。
「地竜のほうから珍しく電話を掛けてきたんだ」
「ねえさんが子どもたちを寝かしつけをしていると思い、それでオヤジに掛けてきたのか」
「多分な」
「用件は?」
「たいしたことじゃない。地竜の側には常に何十人もの護衛がいたからな。伊達眼鏡を掛けたり帽子を目深く被ったり、マスクをしていたりと素顔を見せるのを極端に避けていた。じっと見たらいやがるかと思いあまり顔を見ないようにしていた」
「それがりんりんには新鮮でいじらしく感じた。一目惚れだって聞いたぞ」
「俺は未知一途だ。それにこんなオッサンのどこがいいんだか、さっぱりわからん」
深いため息をついた。
「信孝もどんなヤツか会いたがっていた。縣三兄弟は義理人情に厚いがその分嫉妬深い。信孝だけなら可愛いもんだが、オヤジを兄貴と慕う遼成と龍成がどういう反応を見せるか楽しみでもあるが」
「信孝も遼も龍もあとがおっかねぇんだ。裕貴と蒼生にも何を言われるか……。みんなして焼きもちを妬いてそっぽを向いたら俺はどうしたらいい?」
「オヤジには俺たちがいるじゃないですか。何があってもオヤジについていきますよ」
「弓削、ありがとう」
まさか彼がそんなことになっていたとは。僕はまだ知らなかった。
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