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番外編宋さんのお友だち
「俺は大丈夫だから。今行かないと行けなくなるぞ」
「分かった。すぐ戻ってくるから」
「ゆっくりでいいぞ」
戸を開けると柚原さんが立っていたから心臓が止まるんじゃないかそのくらい驚いた。
「オヤジが楽しそうにしているので様子を見に」
様子を見た柚原さんが笑いだした。
「笑ってないで助けてくれ」
「言われなくても助けますよ」
と口では言いながらも、柚原さんは彼を助けずに陽葵をそっと抱き上げた。
「柚原、てめぇ―裏切りやがったな」
「たまにはいいんじゃないですか」
柚原さんが悪戯っぽい笑みを浮かべた。すごく愉しそうだ。
着替えをしていたら遥琉さんが入ってきた。
「五分だけ」
静かに顔を寄せてきて。そっと口付けられた。愛していると耳元で囁きながら抱き締められた。
「やっばりこうしているときが落ち着く」
嬉しそうに微笑むと抱き上げられた。
「は、遥琉さん」
「暴れるな。たまにはいいだろ?髪も乾かしてやる。子どもたちは橘と柚原がみているから心配ない」
薄暗い廊下を進み部屋に戻ると、座布団の上にそっとゆっくり下ろしてくれた。
「チカから連絡があって。明日の……日付が変わっているから今日だな。始発の新幹線で帰ってくる。国井の身の安全のために消息不明にはなってはいるが無事なのは伝えてある」
「チカさん、気が気じゃなかったよね」
「職業柄危険を伴うからな。チカだって覚悟はしている」
彼の両腕が背中に回ってきて。ぎゅっと抱き締められた。
「髪、濡れているから」
「分かってる。ドライヤーもちゃんとかける。でもその前にちょっとだけ未知を補充させてくれ」
しっとりとかいた汗の匂いと、彼の温もりにすっぽりと包まれて。幸せで心が満たされていく。
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