3944 / 4006
番外編宋さんのお友だち
「さすがは橘。相変わらず見聞が広いわね」
「たまたま知っていただけですよ。推し活に散財する夫と離婚がしたいと阿部法律事務所に相談に来た人がいるんです。たかが推し活で離婚は出来ないとご主人がたかをくくっているんですよ。休みの日はたいがい路上ライブのために東京とか新潟に出掛けているそうですよ。平日に路上ライブがあるときはわざわざ有給をとってまで出掛けるそうです。共働きの奥さんに家の事や子供の世話を全部丸投げして。子どもが熱を出しても自分には関係ない。お前がみればいいだろうと。この人ですよ。ご主人が熱をあげているというストリートミュージシャンは。同居しているご主人の母親は息子可愛いで嫁の話しなんて一切聞いてません。息子が推し活するのは家庭に息子の居場所がないから。交遊関係が広いのはむしろ自慢すべきだ。家計が苦しいのもやりくりできない嫁が悪い。そう、全部嫁が悪い。とまぁ、こんな感じです」
「呆れてものが言えないわね」
「そうですね。私も阿部さんもどうしたらいいものか悩みあぐねていて。今思い出しましたが、県外に住む推し活仲間となんとかセミナーに参加して、参加費無料のはずだろ?そんなの聞いてない。そんなことを電話で話しをしていたそうです。奥さんに聞かれては不味いと思ったのかトイレにこもって話しをしていたそうです。やましいことをしているということがバレバレです」
話しを聞いていた柚原さんが、なんか匂うな、そうぼそりと呟いた。
「あの手この手でお金を集めているようですね。偽の募金活動やら胡散臭いセミナーやら、よくまぁ次から次に楽にアイデアが浮かぶものです。敵ながらたいしたものです」
「それ、アタシも思ったわ」
チカちゃんが大きく頷いた。
ともだちにシェアしよう!

