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番外編宋さんのお友だち

「どうしたんですか?」 「アイツが、ねえさんに礼が言いたいと」 「あの……誰もいませんけど」 キョロキョロとあたりを見回したけど誰もいなかった。 「いるでしょう、駄目だって言ってんのに人ん家に上がり込んで、勝手に茶を飲んでいるヤツが」 青空さんに言われた通り居間を見ると、紫髪のひとが正座していて、ふぅ―ふぅ―と湯呑み茶碗に息を吹き掛けながらお茶を飲んでいたからビックリした。 いつからそこにいたの? 車の中で待っていたはずじゃあ。 「ねえさん、コイツはまともな部類に入る。とって食わないから座ってくれ」 おっかなびっくり、向かい合うように腰を下ろした。 「青空さん、通訳をお願いします」 「通訳は必要ない。見た目はこんなだが、コイツは一応な、元日本人だった」 「え?そうなんですか?」 意外な答えが返ってきたから驚いた。 「山龍(シュンロン)だ」 落ち着い低い声が発せられた。僕と同い年くらいかな。細身だけど、鍛えているせいかがっしりとした逞しい体格だった。 「はじめまして、未知です」 「はじめまして、ではない。話すのははじめまして、だが。(ハオ)(にい)はきみに迷惑をかけてないか?」

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