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番外編宋さんのお友だち

「何もなかったと思います。玲士さんと過足との関係も良好ですし、過足さんのお爺ちゃんとお婆ちゃんとも仲が良くて、二人が作った野菜をゆきうさぎ丸で販売しています。トラブルは聞いていません」 「そうか。人に突っかかるようなヤツじゃなかったから、何かあったのかと心配になったんだ」 「何かあれば弓削さんに真っ先に相談しますよ」 「そうかな。俺みたいに口やかましい兄貴より根岸さんや伊澤さんのほうがヤスだって相談しやすいだろうに。佐治やミツオのほうが年も近いし気心も知れた仲だし」 「そんなことないです。ヤスさんは弓削さんがいいんです。弓削さんらしくありませんよ。どうしたんですか?悩み事ですか?」 「どうもヤスに好きな人がいるみたいなんだ。ねえさんなら何か知っているかと思ってな」 「ヤスさんに好きな人ですか?」 ドキッとした。まだ内緒だから弓削さんに真実を伝えるわけにはいかないもの。 お盆に湯呑み茶碗を乗せたままヤスさんが戻ってきた。 「どうしたヤス?」 「いやぁ、それが……」 そこで言葉を濁すヤスさん。 「邪魔したら悪いかと思って。兄貴、一緒に来てください」 「しょうがねぇヤツだな。分かった」 「よっしゃ」ヤスさんが嬉しそうに微笑み、小さくガッツポーズをした。 遠ざかっていく二人の背中を見送りながら、 「いい感じだね」 「普通気づくよね?」 「普通はね。なんで気付かないんだろ?」 那和さんと紗智さんが顔を見合わせ苦笑いを浮かべていた。

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