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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「ウヅキ」 外に出るなり嬉しそうに彼の腕に抱き付くりんりんさん。 「あのな……」 困惑する彼。 減るもんじゃないんだから別にいいだろう。照れている卯月も可愛い。と言わんばかりに片手でスマホを掲げるとこれまた嬉しそうにカシャカシャと写真を撮影していた。 「りんりん!」 鞠家さんが声を荒げた。 「りんりん一つ忠告しておく。カシラを怒らせたら怖いぞ。寿命が十年縮むぞ」 りんりんさんは悪びれる様子もなくにこにこと笑っていた。 「言葉が通じないということがこんなにもどかしいとはな」 彼が苦笑いを浮かべた。 「柚原も連れてくれば良かったですね」 「そうだな」 「ユズ?」 りんりんさんの表情が強張り、さぁ―っと血の気が引いた。 「くま柄のエプロンをしていていても、ただならぬ雰囲気が漂っているからな。うるさいと一喝され、フライ返しを喉元に突き付けられていたもんな」 ついさっきの出来事を思い出してぷぷっと笑い出す彼。笑い事じゃない。マジて恐かったんだから。死ぬかと思ったんだから。りんりんさんが目を潤ませ目で訴えかけた。 「下手な猿芝居は止めろ。そういうお前こそ何を考えているか分からないから余計に怖いんだ。とんでもないヤツに好かれてしまったな。参った」 彼が空を仰ぎやれやれとため息をついた。 組事務所があるビルに着くと信孝さんと翔さんが待っていた。彼と仲良く腕を組むりんりんさんに嫌悪感を露にする信孝さん。 「ずっとこんな感じなんだ。すまない」 翔さんが困ったようにため息をつくと髪をくしゃくしゃと掻いた。

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