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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「はたから見ると新婚カップルみたいだな」 「あのな翔。この状況で普通、それを言うか?頼むから火に油を注がないでくれ」 「未知さんは心が広いのに、困ったヤツだ」 「だって……」 唇を尖らせる信孝さん。 「あれ、そういえば紫髪のは?一緒じゃないのか?」 「青空と友だちみたいで積もる話しもあるだろうから置いてきた」 「置いてきて大丈夫なのかよ。聞いた話しじゃあ、唯一まともなヤツに見えて一番まともじゃないと聞いたぞ」 「弓削とヤスと、柚原と伊澤さんがいるから大丈夫だ。万が一、未知や子どもたちに危害を加えようとするもなら橘が黙ってはいない。それに額田さんとチカには会長と紫さんがついているから。悪さをしようとするものなら逆にお仕置きをされる」 「そうだったな」 「信孝、きめっこするな。ほら」 りんりんさんがしがみついている右手じゃない、左手を差し出す彼。 「嫌なら別にいいぞ」 「遥琉兄貴はそうやってすぐ意地悪する」 「意地悪してねぇだろう」 信孝さんが彼の手をそっと握った。りんりんさんと目が合うとプイッとそっぽを向いた。 鞠家さんやまわりにいた舎弟たちがどうしていいものか、見て見ぬフリをしたほうがいいか、対応に困り苦笑いを浮かべていた。 「オヤジ、サツがお待ちかねです」 「ソイツのこと、どう説明するんですか?」 エレベーターが下りてくるのを待っている時に佐治さんとミツオさんが彼に聞いた。 「約束より一時間も早く到着するなんて聞いてねぇぞ。鞠家、りんりんとその護衛に菱沼コンサルティングで待つように言ってくれないか?」 「分かった」 彼が携帯を取り出し、 「悪いが大至急来てくれ」 そう短く話すとすぐに電話を切った。 「通訳がいねぇとつまんねぇだろう」 「彼を呼んだんですか?」 「あぁ」彼が頷いた。

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