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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
「なぜ国井を隠す必要があったんだ?」
「未来ある若いデカをみすみす殺されたくなかったと言ってる。公安のデカを殺され、その上国井にまで人質にされたらそれこそ警察の面目が丸潰れだ。シェドの教団に対する対応が後手後手に回って、野放しにしたせいだと批判が殺到する。警察の信用が失墜する。それはそれで見ていて楽しいが、国井のハニーは愛してやまない卯月の妹。助けたら近付くチャンスがあるかも。そう言ってる」
「卯月のどこがいいんだ?」
「愚問だ。聞かなくても分かるだろ?」
「情に厚く侠気があるではなく、全身のほうか。なるほど、そっちか」
笑いの壺に入ったみたいで森崎さんがしばらくの間笑っていた。
「まだ緊張しているのか?怖いだと?どのツラを下げて言ってんだ?」
りんりんさんの言葉を訳しながら柚原さんがくすりと笑った。
「伊澤さんが行ってくれて良かったな。なんとか大人しく帰ってくれるみたいだ」
「それはどうかな。どうせまた喧嘩を吹っ掛けていく。どんなに挑発されてもオヤジは動じないがな。カシラも信孝も反論せずよく耐えた。四の五の言わず、さっさと出ていけと会長だったらとうの昔にサツを追い出している」
りんりんさんのやたらと熱い視線を感じ、思わず咳払いをする柚原さん。
「卯月でなく柚原に乗り換えるのか?」
「な訳ねぇだろう。オヤジの顎のラインと喉仏を間近で見れて喜んでいるんだよ、コイツは」
「……」言葉を失くす森崎さん。
「もしかしたら覃と宋よりかなりヤバイかもな。こんな物騒なものを隠し持っているくらいだからな」
柚原さんがポケットからボールペンを取り出すとそれを机の上に置いた。
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