3961 / 4006

番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

りんりんさん自慢の遥琉さんの写真を見せてもらう森崎さん。 「イチオシはオヤジの風呂上がりの一枚だそうだ」 腰にタオルを巻いただけの状態で濡れた髪をタオルで拭く遥琉さんを真横から撮影した写真をりんりんさんは肌身離さず持ち歩いているんだ。これだけで飯は三杯はいけると自信満々に答えた。 重すぎる遥琉さんへ対する愛に一瞬引きそうになる森崎さん。 「卯月は愛されているな」 「だからこそオヤジの偽者が許せないんだ。黒幕は安全な場所にいて高みの見物だ。決して自分に捜査の手が及ぶことはない。だって黒幕がサツなんだ。証拠はいくらでも隠蔽できるし、誰かに罪を被せればいいんだから」 「そう。事件が起きなければサツは動かない。でも事件が起きてからでは遅いんだ。サツは身内には甘いもんな」 「四季だってやってもいない罪を着せられたんだ。思い出すだけで腹が立つ。怒りが込み上げてくる」 柚原さんが険しい表情を浮かべた。 [ヤルのか?] [ここではしない。愛する卯月に迷惑が掛かる。駅まであとをつける。それからだ] りんりんさんが薬瓶をわざと床に落とした。 パリンと音がして粉々に割れて液体が床の上に零れた。 りんりんさんなりの、失敗しても俺は死なないという意思表示だったのかもしれない。 収穫なし。無駄足だったとさんざん文句を言いながら組事務所から出てくる上司の警察官。若い刑事さんは伊澤さんに呼び止められ二言くらい言葉を交わすと、上司のあとを慌てて追いかけた。

ともだちにシェアしよう!