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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
「どうやら予想外のことが起きたみたいだ」
「何が起きたんですか?」
「自業自得」
山龍さんが背もたれに掛けておいたジャケットを颯爽と肩に担いだ。背中を僕たちに向けた時、刺青が彫られていることに気付いた。着ていたものが白いシャツだったから少しだけ透けて見えた。
「もしかして山龍さんって地竜さんと出会う前はヤクザだったんですか?」
「内緒」
悪戯っぽい笑みを浮かべて唇の前に人差し指を立てる山龍さん。
「でも未知が見たいなら特別に見せてあげようか?」
ジャケットを渡され、シャツのボタンに手を置く山龍さん。
「い、いいです」
耳まで真っ赤になりながらジャケットを返した。
「速攻で断れるとは思っていたけど。未知は可愛いね。ボスが言っていた通りだ。卯月は刺青をしていないだよね?」
「はい、していません」
「非常に勿体ない。彫刻のように美しい背中なのに。宝の持ち腐れだ」
一枚の写真を見せられた。お風呂上がりで腰にタオルを巻いているだけの彼の写真だ。いつの間に撮られていたんだろう。唖然とした。
「油断も隙もないとはこのことですね。宋さんに盗撮禁止のお触れを出さないといけませんね」
橘さんがやれやれとため息をつきながら額に手をおいた。
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