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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「宋って元々は黒竜のハッカーだったのよね?」 「何が聞きたい?」 「元カレって地竜のことじゃないかなって……」 おっかなびっくり答えるチカちゃん。 「は?」一瞬、目が点になる宋さん。 「だからか……今、妙に納得した」 額に手をおく宋さん。気のせいかもしれないけど頬がほのかに赤い。 「殺生なしじゃないぞ」 「それを言うなら節操なしじゃない?宋が動揺する姿を見るの、なんか新鮮だわ」 目をキラキラと輝かせてぱちんと両手を叩くチカちゃん。 「俺で遊ぶな。ボスに恋の『こ』の字を教えたのは未知だ。俺じゃない。孤高のカリスマ性と、近寄りがたいオ―ラがメラメラ出ているんだ。誰も近づけない。死に急ぐように生きていたボスが未知に出会って180度変わった。丸くなったし、人間らしくなった。子ども好きだとは意外だったがな。ボスの初めての恋の相手は未知だ。俺じゃないし、覃でもない」 「地竜じゃなかったらダオレン?今は確か石山だったわね」 「チカ、一つ忠告しておく。長生きがしたかったら二度とその名前を口にするな。虫酸が走る」 眉をきゅうっとひそめる宋さん。 「前はなんともなかったじゃない?」 「前はな、今は名前も聞きたくない」 「そんなの知らないわよ。ごめんね宋」 気まずそうな顔をしてすぐに謝るチカちゃん。 「ねぇ未知、何か聞いてる?」 チカちゃんの顔がぐいぐいと近付いてきて。耳元で小さく囁かれた。 「いえ、僕は何も……」 慌てて首を横に振った。 「あ、そうだ」 心当たりがあるとすればもしかするとあの事かもしれない。でも違うかも知れない。 「間違っていてもいいのよ。こっそり教えて」 「内緒ですよ」 「分かってるって」 チカちゃんがにっこりと笑んだ。

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