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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
「なるほどね~~」
大きく頷くチカちゃん。
「なるほどな。そんなことがあったとはな。びっくりだ」
「そ、宋さん!」
顔を上げたら、宋さんの顔が目と鼻の距離にあったから心臓が止まるんじゃないか、そのくらい驚いた。
こんな至近距離で宋さんの顔を見るのは、もしかすると初めてかも知れない。背が高い宋さんにいつも見下ろされている感じがするから。背伸びをしても届かないし、あんまりじろじろ見るのも失礼かと思って。よくよく考えてみたらちゃんと顔を見たことがないかも知れない。
「カラ―コンタクトレンズを入れているんですか?綺麗な瑠璃色の瞳ですね」
「空の色みたいで綺麗だから瑠璃色とかコバルトブルーとかそっち系の好きな色なんだ。未知は小さいから可愛いな」
前屈みになっていた宋さんに頭をぽんぽんと撫でられた。
「宋、セクハラだよ、その言い方」
「セクハラじゃない。俺は未知を愛でているんだ」
チカちゃんの鋭いツッコミにも動じない宋さん。白い歯を見せて愉しそうに笑っていた。
「あ、いいことを思いついた」
ニヤリと笑う宋さん。
「チカ、一枚頼む」
携帯電話を尻ポケットから取り出すとぽんとチカちゃんに渡した。
「地竜に喧嘩を売る気?」
「だって面白いだろう」
「あのね宋……」
やれやれと深いため息をつくチカちゃん。
「キョンシーより怖い橘に見つかる前に早く」
「分かったわよ。どうなっても知らないからね」
宋さんにせっつかれて携帯電話を僕たちに向けるチカちゃん。
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