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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「未知、一分だけ我慢な」 柔らかい割には冷たい手がおてごにそっと触れてきて。彼と同じ、骨太で頑丈な指先でおでこにかかる前髪を左右に分ける宋さん。 何をされるのか怖くて思わず体を後ろにひこうとしたけど、瑠璃色の瞳にじっと見詰められると足が縫い止められたように動かなくなってしまう。そしてチカちゃんがシャッターを切るタイミングでおでこに軽くキスをされた。 「でなが広いって弓削の言う通りだな。しっとりとして肌触りが気持ちいい。すべすべだし、睫毛は長いし、髪は猫っ毛だし。未知は美人さんだ。もう少し後ろ髪を伸ばしてみても可愛いんじゃないか?触り心地のいい髪だ。ずっと撫でていたくなる」 嬉しそうに髪を撫でる宋さん。 誰かいる気配がして何気に宋さんの背後を見ると、ついさっきまで誰もいなかったのに。いつの間にか橘さんが立っていたから腰を抜かさんばかりに驚いた。 「ソレで俺を叩くつもりか?。しゃもじがかわいそうだ」 「叩きませんよ。子どもたちが真似をするので」 勘の鋭い宋さんは橘さんがいることに気付いていたみたいだった。 「宋さん、あなたは一体何がしたいんですか?」 「さぁな、俺も聞きたい。なかなか面白いことになって来た。血が騒ぐ」 宋さんが嬉しそうに携帯電話を尻ポケットにしまった。

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