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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「病院で発砲事件、怪我人が出ているって。あれれ、もしかして修羅場だったりする?」 紗智さんがひょっこりと顔を出した。 「キョンシーより怖いですか私?」 「ううん」怪訝そうな面持ちで首を横に振る紗智さん。 「遥琉と鞠家さんは?」 「変に疑われるから組事務所から一歩も動いていない」 「そうですか」 「柚原さんの心配はしないの?」 「してますよ。表情に出ないだけです」 紗智さんが橘さんの顔をじっと見た。 「全然分からない」 「それでいいんです。そういえば宋さん、神政会の石山のことを聞きましたか?」 「だからさ……」 はぁ~~と大袈裟なため息をつく宋さん。前髪を指で掻きあげた。 「紗智、それ禁句よ」 チカちゃんがそっと耳打ちした。 「え?そうなの?聞いてないよ」 「紗智、那和と亜優にも言っておいてくれ。本部のある東京から一歩も出なかった引きこもりが新潟に突然現れたってだろ?聞いている。名前すら聞きたくないもないが聞こえてくるんだ。まさに呪いだ」 「紗智さん、病院で発疱事件って本当ですか?狙われたのは諸越さんですか?」 「詳しいことはなにも。ただ、動かなくなってしまった人に執拗に発疱し続けた、先日の磐越自動車道発疱事件と酷似しているって、ネットニュースでは言ってるよ」 紗智さんが携帯電話の画面を橘さんとチカちゃんに見せた。

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