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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「宋なら止められるでしょう」 「無理だ。誰も止められない。莫にとっては予行練習のつもりだろうな。人が集まる祭り当日が本番だ」 そのとき、子どもたちの悲鳴が聞こえてきた。 「ライブ配信をすれば小遣い稼ぎが出来ると唆された中高生だろう」 「今、問題になってますよね」 「あぁ。K駅も有名になったものだ」 「出来ればいい意味で有名になってほしかったですよ。家庭に居場所がない中高生が週末に集まり、たむろするようになるなんて、誰が予想したでしょうね」 「しかもヤクザの組事務所がすぐ目の前にあるんだぜ」 「あの、宋さん。遥琉は中高生の子どもたちをカモにするような卑劣な真似はしませんよ。ずいぶんとまぁ、安く見られたものです。そこら辺のヤクザと一緒にしないでいただけますか?」 「お、橘が怒った。怒った顔が見れるなんて果報者だ」 「私は真面目な話しを……するだけ時間の無駄ですね」 やれやれとため息をつく橘さん。 テレビのリモコンを押していたずらをしていたのは太惺だった。たまたま偶然押したのがお昼のワイドショーの番組でちょうどK駅の西口広場と中継を繋いでいて、地元テレビ局のアナウンサーがリポートしていた最中だった。数発の発砲音がして、悲鳴があがったのは。 「たいくん、見ちゃだめだよ」 真っ先に気付いた一太が駆け寄り、テレビの電源を切った。 「お兄ちゃんが大きな声を出したから、びっくりしたよね。ごめんね」 リモコンを握り締めたままきょとんとしている太惺を笑顔で抱き上げる一太。

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