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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
「柚原さんは会ったんですか?莫さんに」
「オヤジとカシラに不遜な態度をとる上司を諌めるわけでもなく、薄ら笑いを浮かべていたあの若いのだろ?」
柚原さんが陽葵を僕の腕のなかに移動しようとしたら陽葵が柚原さんの服をぎゅっと掴んだ。
「汗臭い男よりママのほうがいいだろうに」
苦笑いを浮かべつつも、嬉しそうに顔を綻ばせる柚原さん。陽葵もさっきまで泣いていたのが嘘のように、あ―、う―と機嫌よく柚原さんに話しかけていた。
「めんげえな~~」
「晴くんたち帰りたくないと橘さんの足にしがみついてて」
「そういえば家族で出掛ける用事があるとさっき話しをしていたな。予定を変更せざるを得ないな。なんぼでもままたんに甘えたらいい」
「柚原さんは焼きもちを妬かないんですね」
「子どもには。でも優璃に近付く輩は徹底的に排除する」
柚原さんが言うと冗談には聞こえてきたからちょっと怖い。
「愛してるんですね」
「聞くまでもないだろう」
柚原さんが照れて真っ赤になっていた。
「モテる男は辛いね、なんてね。外が騒がしいですね」
ふと庭の方に視線を向ける柚原さん。
「そうですか?」
「聞こえないのも無理ないです。ここは奥まった部屋なので」
柚原さんの表情がみるみるうちに険しくなっていった。
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