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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
「パパ、お客さん、けがをしているの?痛いの痛いの飛んでけ~~してあげる?」
ひょっこりと顔を出したのは一太だった。
「子どもが来る所じゃねぇ。ヤス、一太を連れていけ」
「ぼくは大きくなったらパパの後を継ぐんだ。だからいてもいい?」
「なんも面白いことはねぇぞ」
「うん大丈夫だよ」
一太が山龍さんの隣にちょこんと座った。
「ねぇお兄さん食べる?」
差し出したのはフルーツキャンディーだった。
「一太も飴をくれるのか?嬉しいな、ありがとう」
「痛いよね?」
「これくらいかすり傷だ」
刺青にビビる一太ではない。
「お兄さんのやさしい目をしてるね」
「そうか?」
他愛もない会話を山龍さんと交わしながら、彼が山龍さんの肩に包帯を巻くのをじっと見ていた。
「えっと……お名前はなんだっけ。忘れちゃった。ごめんなさい」
「いちいち謝ることはない。山龍《シャンロン》だ。律儀で真面目なところが父親そっくりだな」
「ありがとう嬉しい。お兄さんもディノンさんみたいでカッコいい名前だね」
父親にそっくりと言われるのが一番嬉しい一太。ニコニコと笑っていた。
「そうか?」
一太に褒められ満更でもないのか嬉しそうに微笑む山龍さん。
「きみはボス……いや、地竜が好きか?」
「うん、大好きだよ。でもディノンさんのママ大好きには負けるけどね」
「そうか。きみも俺たちと一緒だな」
山龍さんが一太の頭を優しく撫でてくれた。
「お兄さんの手、パパとディノンさんと同じくらい大きいね。ゴツゴツしてる」
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