3984 / 4006

番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「パパ、お客さん、けがをしているの?痛いの痛いの飛んでけ~~してあげる?」 ひょっこりと顔を出したのは一太だった。 「子どもが来る所じゃねぇ。ヤス、一太を連れていけ」 「ぼくは大きくなったらパパの後を継ぐんだ。だからいてもいい?」 「なんも面白いことはねぇぞ」 「うん大丈夫だよ」 一太が山龍さんの隣にちょこんと座った。 「ねぇお兄さん食べる?」 差し出したのはフルーツキャンディーだった。 「一太も飴をくれるのか?嬉しいな、ありがとう」 「痛いよね?」 「これくらいかすり傷だ」 刺青にビビる一太ではない。 「お兄さんのやさしい目をしてるね」 「そうか?」 他愛もない会話を山龍さんと交わしながら、彼が山龍さんの肩に包帯を巻くのをじっと見ていた。 「えっと……お名前はなんだっけ。忘れちゃった。ごめんなさい」 「いちいち謝ることはない。山龍《シャンロン》だ。律儀で真面目なところが父親そっくりだな」 「ありがとう嬉しい。お兄さんもディノンさんみたいでカッコいい名前だね」 父親にそっくりと言われるのが一番嬉しい一太。ニコニコと笑っていた。 「そうか?」 一太に褒められ満更でもないのか嬉しそうに微笑む山龍さん。 「きみはボス……いや、地竜が好きか?」 「うん、大好きだよ。でもディノンさんのママ大好きには負けるけどね」 「そうか。きみも俺たちと一緒だな」 山龍さんが一太の頭を優しく撫でてくれた。 「お兄さんの手、パパとディノンさんと同じくらい大きいね。ゴツゴツしてる」

ともだちにシェアしよう!