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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
「山龍さんの怪我の具合はどうでしたか?」
戻ってきた柚原さん恐る恐る聞いてみた。
「弾が肩を掠めた程度でたいしたことはないらしい。思ったより元気だった」
「そうですか。良かった」
胸に手をあてて撫で下ろした。
「不謹慎ですよね。怪我をした人が他にもいるに」
「そんなことはない。たまたま運が良かっただけだ。いくら反射神経に優れているとはいえ至近距離から発砲されたら避けきれないよ。そういえば一太が山龍と話しをしていた。痛い痛いと山龍が連呼するから心配で様子を見にきたんだろう。オヤジが包帯を巻くまで気を紛らわせるためか山龍に話しかけていた。一太は物怖じせず人見知りもしないからみなに慕われる。菱沼組の愛されるキャラだな」
「遥琉さんに似たんでしょうね」
「いやいやねえさんですよ。オヤジに似たら親子して手の施しようもない焼きもち妬きになる。まわりにいる俺らの身にもなってください。焼きもちを妬いて暴走したら誰が止めるんですか」
柚原さんの言うことにも一理ある。
「遊びじゃねぇんだ。真面目にやれ。だから莫にまんまと逃げられるんだ。宋に怒鳴られてりんりんが涙目になっていたとか。近くで聞いていた若い衆が震え上がるくらいだからかなりの迫力だったんだろう。猫を被った普段の姿しか見ていないから尚更怖かったのかもしれないな」
「鳥飼さんたち大丈夫なのかな」
「奈梛を残して先には絶対に逝きませんよ。大丈夫です」
柚原さんに笑顔で励まされた。
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